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チームで取り組むがん治療

富山大学附属病院 臨床腫瘍部 教授・総合がんセンター長 林 龍二 先生

富山県唯一の特定機能病院として高度先進医療を担う富山大学附属病院 総合がんセンターは、「命をまもるがん治療、北陸富山から世界へ」をスローガンに、各診療科を集約したチーム医療でがん治療に取り組んでいます。今回は、総合がんセンター長の林龍二先生にお話を伺いました。

林 龍二 先生

取材日:2020年11月

富山県唯一の特定機能病院として高度先進医療を担う富山大学附属病院 総合がんセンターは、「命をまもるがん治療、北陸富山から世界へ」をスローガンに、各診療科を集約したチーム医療でがん治療に取り組んでいます。今回は、総合がんセンター長の林龍二先生にお話を伺いました。

公開日:2021年12月17日

患者さんには、がんを必要以上に怖がらずに治療を受けてほしい

 現在の日本は、高齢社会に伴ってがん患者さんも増加しており、生涯でがんに罹患する確率は2人に1人といわれています1)。がんは非常に難しい病気ですが、医療は確実に進歩していて、その原因の特定や新薬の開発が進んでいます。アメリカの臨床腫瘍学会(ASCO)でも、『Conquer Cancer=がんを征服する』というキャッチフレーズを掲げて、がん治療に関する情報を世界に発信しています。がんが怖くてなかなか病院に行けない、という患者さんもいらっしゃいますが、今は治療の選択肢も増え、緩和ケアなどの患者さんサポートの面も発展しています。がん患者さんをとりまく状況は確実に前進していますので、がんを必要以上に怖がらずに治療を受けてほしいと思っています。

遺伝子から原因を解明するがんゲノム医療

 「がんゲノム医療」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ほとんどのがんは、少し傷付いた遺伝子(遺伝子変異)が長期間蓄積されることで発症します。がんゲノム医療は、遺伝子パネル検査により原因となる遺伝子変異を解明して、患者さん一人ひとりに適した薬を使ってがんを治療する方法で(図12)、日本でもがん遺伝子パネル検査が2019年6月に保険適用になりました。現在のところ、検査を行える医療機関が限られること、費用が高く保険適用となる患者さんが少ないこと、遺伝子変異がわかっても対応する治療薬が開発されていない場合があることなどの課題があります。しかし、全国の遺伝子変異のデータが蓄積されつつあり、このデータは、今後の治療薬の開発や原因の解明に生かされることが期待されています。

図1遺伝子情報に基づくがんの個別化治療

 「がんゲノム医療」として、多数の遺伝子を同時に調べる検査である「がん遺伝子パネル検査」は、その一部が保険診療として、標準治療がないまたは終了したなどの条件を満たす場合に行われています。

2)国立がん研究センターがん情報サービス, がんゲノム医療 もっと詳しく

がん治療には各診療科を集約したチーム医療が大切

 がんの診療には、一つの診療科内だけでなく、各診療科を集約した総合的なチーム医療でがん患者さんを診療することが大切だと思っています。患者さんにとっては、各診療科を集約した窓口があれば、複数の診療科を受診する必要がなく、チーム内で情報共有されているので時間の短縮になります。また、複数の診療科で意見交換することによって多面的に検討できることが大きなメリットと言えるでしょう。例えば、肺がん患者さんに対しては、呼吸器内科と呼吸器外科、放射線科、腫瘍内科などの医師や医療従事者が集まり、患者さん一人ひとりに合わせた治療方針を検討します。さらに、がんゲノム医療や乳房再建、妊孕性などの新しい分野の専門医が加わることにより、がん患者さんにより多くの選択肢を展開できると考えています。

患者さんへのメッセージ

 私は、大学生のときからずっと住んでいる富山県が大好きです。富山県とその近隣の患者さんが大都市と変わらない水準の医療が受けられて、元気で長生きできることを目指して患者さんの診療を行ってきました。患者さんには、少しでも心配なことがあれば、がんという病気を怖がらずになるべく早く病院に来てほしいと思います。がんは早期発見、早期治療であればあるほど、十分な治療ができますし、選択の幅も広がるからです。私達は、今後も患者さん一人ひとりに適したがん治療を提供できるように、チームで患者さんを支えていきます。

*American Society of Clinical Oncology:がん分野において学術研究の進展や連絡などを目的として、研究者を中心に運営されるアメリカの団体。

1)国立がん研究センター がん情報サービス, 最新がん統計
2)国立がん研究センターがん情報サービス, がんゲノム医療 もっと詳しく

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